テーブルビート
テーブルビートまたはカエンサイ(火焔菜)とは、アカザ科のビートの中で根を食用とするために改良された品種を指します。
単にビーツとも呼ばれ、ロシア料理のボルシチなどの食材として使われています。
テーブルビートは砂糖の主要原料ともなり、サトウダイコンまたは甜菜(てんさい)とも呼ばれています。
根が肥大し、そこに砂糖が蓄えられます。根の形は、丸大根やカブに似ていますが、別種の野菜です。
原産地は諸説ありますが、ヨーロッパからアフリカ北部、地中海沿岸などといわれています。寒さに強いので、高緯度の地域で栽培されています。
食用が始まったのは紀元前6世紀ころと古いですが、現在のように根を食べるようになったのは16世紀以降で、それまでは葉を食べる野菜でした。
テーブルビートの色素は、一度衣服や手につけてしまうとなかなか落ちないほどで、天然着色料としても使われています。手についたビーツの赤い色はレモン汁で落とせます。
栄養
テーブルビートにはビタミンCや鉄分が豊富で、他にもリン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウムが含まれています。
ビタミンA、ナイアシン、ビオチン、葉酸そして食物繊維も豊富に含まれているなど栄養価はとても高く、飲む血液と言われるほどです。
また、テーブルビートの鉄分は、人工製剤の鉄より吸収や同化されやすいと言われています。
ポリフェノールの一つであるベタシアニンなど数種の抗酸化物質は、免疫力を高め、解毒作用(デトックス)、便秘解消、高血圧予防、動脈硬化予防、貧血予防、がん予防、細胞膜生成でアンチエイジングなどの効能があると言われています。
ニンジンやスイートコーンよりも糖分を多く含むため、最も甘い野菜の一つです。
食品カロリー栄養素成分表/栄養価ビート(100g中)
熱量(カロリー) 41kcal
タンパク質 1.6g ビタミンD 0μg
脂質 0.1g ビタミンE 0.1mg
炭水化物 9.3g ビタミンK 0μg
βカロテン 0μg 亜鉛 0.3mg
レチノール 0μg カリウム 460mg
ビタミンB1 0.05mg カルシウム 12mg
ビタミンB2 0.05mg 鉄 0.4mg
ナイアシン 0.3mg 銅 0.09mg
パントテン酸 0.31mg マグネシウム18mg
ビタミンB6 0.07mg マンガン 0.15mg
葉酸 110μg リン 23mg
ビタミンB12 0μg 食物繊維 2.7g
ビタミンC 5mg コレステロール 0mg
食用
ヨーロッパでは、テーブルビートを用いたスープが何種類かあります。
そのうちの一つであるボルシチには欠かせない野菜であり、ボルシチの鮮やかな赤紫色はテーブルビートに由来しています。
北アメリカでは、サラダバーにテーブルビートの酢漬けが置いてあることが多く、スペインやトルコなどでは、テーブルビートを混ぜたポテトサラダのことを「ロシア風サラダ」と呼んでいます。
オーストラリアでは、テーブルビートの輪切りをハンバーガーやサンドイッチの具にしています。
薬用(民間療法)
古代ローマ人は、テーブルビートを発熱や便秘などの治療に用いました。
古代ギリシアの医師であるヒポクラテスは、ビートの葉を傷口にあてることを奨励しています。
古代ローマ時代から、ビートの絞り汁は催淫効果があると考えられてきました。
ビートはヒトの性ホルモンの合成に重要な元素、ホウ素を多く含んでいます。